精神保健福祉士とは
精神保健福祉士とは、1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格です。
21世紀はこころの時代と言われています。多様な価値観が錯綜する時代にあって、こころのあり様は私たちがもっとも関心を寄せる問題の一つとなっています。
特に、わが国では、たまたまこころの病を負ったことで、さまざまな障害を抱えた人々(精神障害者)に対する社会復帰や社会参加支援の取り組みは、先進諸国の中で制度的に著しく立ち遅れた状況が長年続いていました。近年になり、関係法の改正などにより、ようやく精神障害者も私たちと同じ一市民として地域社会で暮らすための基盤整備が図られることとなりました。
精神保健福祉士は、精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)という名称で1950年代より精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入された歴史のある専門職です(2021年4月、日本精神保健福祉士協会により、英訳名称がメンタルヘルスソーシャルワーカーMHSWに変更されました)。社会福祉学を学問的基盤として、精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加に向けての支援活動を通して、その人らしいライフスタイルの獲得を目標としています。
さらに、高ストレス社会といわれる現代にあって、広く国民の精神保健保持に資するために、医療、保健、そして福祉にまたがる領域で活躍する精神保健福祉士の役割はますます重要になってきています。
※精神保健福祉士国家試験指定試験機関・指定登録機関:公益財団法人社会福祉振興・試験センター
長野県精神保健福祉士協会の目的
会員相互の連絡と協力を図りながら、専門的技術を研鑽し、精神保健福祉士の資質と社会的地位の向上に努めるとともに、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進に寄与することを目的とする。
会長あいさつ
「専門職団体として、問い、実践し続ける」
第4代 長野県精神保健福祉士協会会長(令和5年~)
二宮 美和
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本協会設立当初より会の発展にご尽力された前会長を引き継ぎ、今年度、会長に就任しました。責務を全うすべく精一杯努めて参りますので、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
さて、就任にあたり、最初に、次の問いを皆様と共有したいと思います。近年の社会情勢や産業構造の変化は、社会課題を顕在化させ、人々の生活と生命に影響を及ぼしていますが、既存の価値観やモデルが通用しないといわれるこの時代に、専門職団体に求められていることは何なのでしょうか。
我々ソーシャルワーカーの専門職団体の向かう先は、「社会課題の解消」「社会構造の変革」です。その実現のためには、まず、「クライエント・関係団体・会員との協働」の維持そして強化が、全ての活動において重要であることはいうまでもありません。そして、精神保健福祉士である我々自身が、様々な課題へ対峙するための理論と技術を醸成させ、時代に即したソーシャルワークを実践していくことも求められます。ミクロ・メゾ・マクロのレベルそれぞれにおいて精神保健福祉士の実践を支える環境の整備がなされること、「理論と実践の融合」が行える研鑽の機会が確保されていること、これらを本協会の存在意義と認識し、事業を通じて、皆様へ提供してまいります。先に挙げた専門職団体の使命のために、一緒に進んでいきましょう。
本協会は、平成11年10月2日に設立されました。今日までの諸先輩方の様々な実践が、制度・施策を動かし、地域を創ってこられた、その下に、国家資格と私たちの今の実践があることを忘れてはなりません。変わりうる時代の趨勢により、これからも皆様と共に、新たな知見と実践を積み重ねていきたいと思いますので、協会活動へのご理解とご参画のほど、引き続きよろしくお願いいたします。